人を嫌い、人のいない地を探して何百年も旅を続ける不死の男・ウラドと、差別される獣人の少女ティナ。買われた身のティナの腕に巻かれた奴隷の腕章を、ウラドが魔法でそっと燃やして「君は獣人だけど、人だ。人には尊厳が必要だ」と言う第4話で、もうこの二人から目が離せなくなった。口は塩対応でも、やることはどこまでも優しい。旅の道中で出会う人々の生と死、誰かを想うことの難しさが一話ごとに静かに胸に残って、読むほどに世界の奥行きが広がっていく。魔力の弱いティナが「できることに目を向けた」と工夫で道を切り拓く姿にも、そっと背中を押したくなった。重さもやさしさも併せ持つ、腰を据えて浸りたい一作。
この世にいる人間は必ず死ぬ。だが、死ねない男がいた。かつて魔法を科学として解釈し、時代に淘汰された錬金術師、ウラド。彼は人の存在しない地「メテロトロン」を目指し、孤独に旅を続けていた。人を嫌った彼が出会ったのは、人に忌避される獣人の少女ティナ。彼女は孤独を恐れていた。 彼らは長い旅の道中、畝る歴史に巻き込まれていく。そして、その中で生きる人を見た。 −–−–−なぜ生きてしまったんだ。 −–−–どうして1人に。−–−どうして恨んでくれない。 −–−–ただあなたには、生きてて欲しい。 ——なぜ人は争い、なぜ滅びを繰り返すのか。そして尚人に願いを託し、罪を背負ってでも生きるのか。彼はかつて幸福を願い、そして裏切られ、絶望を感じた人間達を見る。長い生の果て、人を嫌い、死を願っても死ねない男は、その答えに向き合わなくてはならない。 これは、生と歴史、そして魔法の物語。 死ねない男の終わりのない旅の一節。 【見ろ】 絶望であり希望であるものを。 *この物語はフィクションです。あらゆるものに対して、一切の悪意、関係性はございません。
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