プロローグから心をつかまれた。金属の体で目覚め、世界も自分の輪 郭も曖昧な少年アトリ。雪原で銀の義眼を光らせるギルダと再会する 場面の静けさが、ずっと心に残っている。 仲間と並んで朝食を作ったり、過去の写真を見せてもらったり。そん な日常の温度と、Second計画を巡る陰の気配が同じ手触りで描かれて いて、ページをめくる手がやさしくなる。「管理するより並んで強く なるほうがいい」というギルダの言葉に、そっと胸が温まった。 SFの設定は緻密だけれど、響くのはいつも人と人のあいだの距離。じ っくり追いかけたい一作。
14歳で“停止”したサイボーグの少年――アトリ。 テクノロジーが臨界まで発展し、そして衰退へ向かい始めた世界。 8年前、アトリのシステムは突然シャットダウンし、彼の時間はそこで止まった。 アトリが再び目覚めた時、世界は激変していた。 新たな法律の施行により、過剰な人体改造を施されたアトリの肉体は、今や「再現不可能な違法技術の塊(ロストテクノロジー)」になってしまっていた。 全ての記憶を失い、再起動したアトリの前に現れたのは、かつて共に訓練を積んだ仲間のサイボーク、ギルダ。22歳の大人の女性へと成長した彼女に対し、アトリの肉体は14歳の少年のまま。 軍の最高機密戦力資産、人型兵器集団――通称〈Second〉。 かつて家族のように笑い合った、9人の仲間たちをめぐる運命の歯車が、いま再び回り出す。 ※正直に言うと、最近の流行とは少し違う作風なので、読んでいただけるか、かなり不安です… この物語では登場人物同士の関係性、積み重なる伏線、心理戦、そして揺れ動く心情 を丁寧に描くことを大切にしています。 “人間(あるいは人間だったもの)たちの物語”として読んでいただけるように書いています。技術設定も、難解な理論より 物語の必然性 を優先して組み立てています。 もし気になる点や、もっと良くなる部分があれば、 感想やご指摘をいただけるととても嬉しいです。 作品づくりの励みになります。
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