家族の支えと親友との絆の中で、魔導具師を目指す女の子の歩みがじんわり胸に来る。九歳でようやく自作のランタンに光が灯る瞬間、料理人を夢見て走り出す親友に置いていかれそうで胸がきゅっとなる夜、それでも翌朝には手を繋ぎ直せること。派手な戦闘ではなく、誰かを笑顔にしたいという小さな気持ちが少しずつ世界を広げていく。その温度感が好きだ。
親友の夢を支える魔導具。 雪国の暮らしを変える装置。 冒険者の思い出に届く、温かな一杯。 少女セレナが作るのは、ただ便利なだけの道具ではない。 大切な人たちの願いに、自分の想いを重ねた魔導具だった。 ――――――――――――――――――――――――――――――― 五歳の誕生日。 セレナは、異世界から来た少女、澪と出会う。 澪はセレナに知識を託し、「また会おう」と告げて眠りについた。 その知識をきっかけに、セレナは魔導具師を目指すようになる。 だが、正しい魔導回路を見抜く力はあっても、幼い体はまだそれを再現できない。魔導回路を自由に描けるようになるため、セレナは母の工房で失敗を重ね、少しずつ腕を磨いていく。 やがて彼女は知る。 魔導具は、大切な人たちの願いを形にしてこそ、ただの道具ではなくなるのだと。 親友の夢を後押しする、魔導具のコックコート。 雪に苦しむ友の故郷を救う、融雪の魔導具。 母との思い出の味を、旅先でも味わえる水筒。 セレナは人の声に耳を傾け、仲間と支え合いながら、その願いに自分の想いを重ね、誰かの日常を少し変える魔導具を生み出していく。 だが、想いを形にするために生まれた新しい技術は、多くの問題も連れてきた。 貴族たちの思惑。 広がっていく責任。 仲間とのすれ違い。 けれどセレナは立ち止まらない。 大切な人たちの願いに応えるために。 自分の手で、誰かの笑顔を創るために。 そして、その歩みの中で、心に芽生えた淡い想い。 その気持ちに戸惑いながらも、セレナは一人の少女として少しずつ花開いていく。 これは、一人の少女が魔導具を通じて仲間と出会い、居場所を得て、大切な人たちの笑顔を創っていく成長譚。 ※本作は「カクヨム」様にも掲載しております。
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