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仮発掘連載中純文学

想い出

彼岸  章華 📚 13.8万 🔖 77
 これは、とある老人「霧雨 雄一郎」から明かされた、不思議な喫茶店を舞台に巻き起こる雄一郎さんの想い出の追想話である。  ああ。  私「古川 満」は、いつものように喫茶店で雄一郎さんと談笑してたのだ。  だが雄一郎さんは何を思ったのか、私に自身の思い出話を、打ち明けてきたのである。  なぜ、私に?  なぜ、いま?  しかし、そんな事はどうでも良い。  なにせ、私は雄一郎さんの過去を気になってしまったのである。  そうなってしまったら、後の祭りだ。  だって、私は気になってしまったのである。  ああ。  相も変わらず、私の好奇心は猫をも殺してしまうらしい。  だが、後悔はない。  好奇心に従って生きる人生は、自己表現が苦手な私にとって、貴重なのだから。  ああ。  どんな話が聞けるのだろうか。  とても、楽しみだ。  さて。  此れは、春夏秋冬に別れた老紳士の思い出の、其の一欠片で御座います。  心行くまで、お楽しみください。
🃏 推薦カード 1
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管理人
2026/6/17 · ネタバレ:軽微

廃墟にしか見えない喫茶店、扉を開けると中は上質な洋風の空間——という入り口からして好きだ。 しかもその物語を、落語の弁士みたいな語り部が読者に直接話しかけながら見せてくる。この声にまず持っていかれた。 中身は、老紳士・雄一郎と青年・満の掛け合い。嫌味と感謝が混ざった応酬がとにかく楽しくて、出る杭を打とうとしたら宝石みたいに切り返される、あの間合いにニヤニヤさせられる。なのに読み進めるほど、ほのぼのした会話の温度がじわっと不穏に傾いていく。この落差にやられた。 旧仮名と傍点を効かせた語りごと味わう一作。

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