ヨミホリをつくっている理由(運営者の思い)
はじめに——なぜ、この読みものを書くのか
ヨミホリ(Web小説発掘ナビ)を、私はひとりでつくっています。
サービスの説明はこのサイトについてに書きました。機能の話や、使い方の話も、それぞれのページにあります。でも、そういう「説明」からはこぼれ落ちてしまうものがあります。なぜ、わざわざこんなものをつくったのかという、いちばん最初の気持ちです。
うまくまとまっていなくてもいいから、それをここに残しておきたいと思いました。サービスがどれだけ形を変えても、ここだけは変えたくない——そういう芯の部分を、自分のために書いておきたかったのです。
出会いそこねる、という感覚
はじまりは、とても個人的な違和感でした。
読みたい物語を探しているとき、いつも心のどこかにひっかかっていたことがあります。ランキングや話題の新着を眺めても、「今の自分が読みたいもの」には、なかなかたどり着けない。おもしろい作品はきっとたくさんあるはずなのに、私が探している場所には、見当たらないことがある。
それは、作品の側に何かが足りないからではありません。ただ、読みたい人と、読まれたかった一作が、出会うきっかけを、まだ持てていないだけなのだと思います。
きっと、こういうすれ違いは、いま この瞬間にも無数に起きている。読みたかったはずの人と、読まれたかったはずの一作が、出会わないまま通り過ぎていく。それを少しでも減らせないか——ヨミホリは、その素朴な問いから始まりました。
ランキングを否定したいわけじゃない
誤解されたくないので、はっきり書いておきます。私はランキングが嫌いなわけでも、否定したいわけでもありません。
ランキングは、たくさんの人に読まれている作品を、さらに多くの人へ届けるための、とても優れた仕組みです。いま何が盛り上がっているのかを、正直に映してくれます。私自身、そこからたくさんの作品に出会ってきました。
ただ、ランキングが答えてくれるのは「多くの人に届いたか」という問いです。それはとても大事な問いだけれど、「私が好きになれるか」という問いとは、少しだけ別のものです。
今日は静かに泣きたい。今日はただ笑いたい。今日はどこか遠い世界に、ずっと浸っていたい。その日その日の気分にほんとうに刺さる一作は、みんなの真ん中ではなく、少し外れたところで、静かに待っていることがあります。ヨミホリは、その「少し外れたところ」に、そっと光を向けるための場所にしたいのです。
「発掘」という言葉に込めたこと
サービスの名前に「発掘」という言葉を選びました。宝探しみたいで、少し大げさに聞こえるかもしれません。
でも私は、これを「かわいそうな作品を助けてあげる」という意味では、絶対に使いたくありませんでした。作品や作者を、上から目線で「救ってあげる対象」にしてしまう言葉は、私の思いとは真逆だからです。
私にとっての発掘は、もっとシンプルです。あなたが「これ、好きだ」と思った一作に、あなた自身がスポットライトを当てる。その行動そのものを、発掘と呼びたい。主語はいつも「作品がかわいそう」ではなく、「わたしが好き」。ここだけは、何があっても曲げないつもりです。
(この話は、発掘ノートの読みものでも少し書きました。)
作品の良さは、数字だけでは決まらない
サービスをつくっていると、どうしても「良い作品を、何かの数字で見分けたい」という誘惑が出てきます。そのほうが効率的だし、迷わなくて済むからです。
でも、つくればつくるほど、私はその考え方に慎重になっていきました。
心に長く残る一作を、何か一つの数字で言い当てることは、たぶんできません。順位でも、点数でも、割合でもない。ある人の胸を打った物語が、別の誰かにはそうでもない。それは欠陥ではなく、読書という体験が、そもそもそういうものだからです。一人ひとりの「好き」は、平均値には還元できない——このことを、私は何度も自分に言い聞かせています。
だから、ヨミホリが最後に信じる物差しは、機械が弾き出す数字ではなく、あなたが残してくれた「好き」そのものでありたい。誰かの短い一言、ひとつのスタンプ、たった数秒の応援。そういう、人の手のぬくもりが残ったものを、いちばん上に置ける場所にしたいのです。
応援は、ほんの数秒からはじめられる
「好き」は、心の中にしまっておくだけでは、誰にも届きません。でも、ほんの少しの行動で、それは次の誰かへの合図になります。
だから私は、応援のハードルを、できるだけ低くしたいと思っています。ログインしなくても押せるスタンプ。短くていいひとこと。そして、もっと届けたくなったときの推薦。
どれも、たった数秒でできることです。けれどその数秒が、まだ多くの人に知られていない一作にとっては、「最初の光」になります。あなたが、その作品の“最初の読者”になれる。そして作者にとっては、その一言が、次の一話を書く理由になります。
読者と作者が、ちゃんと出会える。その連なりの、いちばん最初の一歩。それをつくりたくて、私はこのサイトを続けています。
これから
正直に言えば、まだ手探りです。うまくいっていないこともたくさんあるし、これが正解だと胸を張れるほど、できあがってもいません。
それでも、変えないと決めていることがひとつだけあります。あなたの「好き」を、いちばん大切にすること。派手な数字よりも、効率のいい仕組みよりも、その一点だけは、これからも真ん中に置いておきます。
もし、あなたがここで一作に出会えたなら。そして、その一作に「好き」を残してくれたなら。それは私にとって、この場所をつくった意味そのものです。
あなたの発掘を、待っています。